コロナによる「持続化給付金」受給のために、給与所得を事業所得であると申請したら税金はどうなる?

2020年07月06日

中小企業庁では、「持続化給付金」の対象者を、

  1. 2020年に新規創業した事業者
  2. 主たる収入を雑所得・給与所得の収入として計上している個人事業者

などの、これまで対象となっていなかった方々にも対象を拡大して、すでに2020年6月29日より、該当する申請が受け付けられているようです。

持続化給付金に関するお知らせ 支援対象を拡大します

 

中小企業庁のこの対象者拡大措置は、とあるワイドショーでの報道がきっかけであったように記憶しています。

 

でも、税金の世界では、「持続化給付金を給付してもらって良かったね!」と喜んでばかりもいられないのです。

 

  1.  「主たる収入が雑所得」であるということは、一般的にありうるのでしょうか?
  2.  個人事業者が事業所得を給与所得で申告することが一般的にあるのでしょうか?

 

いま仮に、そういう申告をしていたとして、今回の持続化給付金対象者拡大措置により給付金をもらった場合、どういう事態が起こると予想されるでしょうか。

 

  1.  「雑所得が、実は事業所得でした」と変更することになると、年間290万円を超える場合には個人事業税を負担することになるかもしれません。
  2.  「給与所得が、実は事業所得でした」と変更すると、必要経費が概算経費控除(500万円の年間給与収入で約150万円)から実額計算控除となりますから、必要経費に関して過去にさかのぼって領収書の保存が必要となります。
    ほとんどの場合、所得税の修正申告をする必要がでてきて、住民税や個人事業税にも連動する可能性もあります。また、年間収入によっては、消費税の納税義務も発生します。

 

「持続化給付金をもらいたい」という理由で、「実は個人事業者です」と給付金申請すると、申請にはマイナンバーを使うため、もらった給付金以上に税金を負担することになった、という困ったことになるかもしれません。そういう事例が出てきたときには、再び羽鳥さん?にTVで取り上げてもらいたいものです。国民が税金のことを考える良い機会につながりますからね。