2021年09月17日
昭和の時代には、物品税という租税がありました。
「懐かしい。」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
指輪、宝石、毛皮などの高価なものを購入するときに、消費税同様に購入者が負担する租税でした。
平成元年4月1日から導入された日本の今の消費税制度ですが、思い起こせば、難産のうえに未熟児で生まれてきたのです。
時の総理が「嘘をつく顔に見えますか?」とまで選挙の演説で言い切って、衆議院で300以上の議席を獲得して導入しようとしたのが売上税と呼ばれる大型間接税。
「牛歩戦術」という言葉が誕生したのもこの頃ですが、売上税は廃案に。
そして、総理大臣が交代して消費税は誕生しました。しかし、大問題が一つ。
法律上も経理上も預り金ではないのに、「消費税は、預り金。」と会見で説明してしまったために、国民は誤解し、実務は大混乱。
例えば、八百屋さんや魚屋さんでは、「消費税は預かっていません。」という立札がでたり、中小事業者の事務負担を考慮し簡易課税制度が導入されたり、免税事業者が誕生したり。
面白いのは、居住用の家賃収入は、当初は消費税の課税対象だったのに途中から非課税になりました。さらには、納税を促すポスターでは、とある女優さんも混乱しているようでした。
結局、導入後30年経過した現在でも、収入の対価として懐に入った消費税相当額の一部が懐に残ったままになっているという論議がくすぶり続け、令和5年10月1日からいわゆる「消費税のインボイス制度」が導入されようとしています。
インボイス制度は「適格請求書等保存方式」とも言われ、税務署に納付する消費税額を計算する際の控除のために必要となるインボイス(適格請求書等)の発行事業者を国税庁に事前登録し、その登録した登録番号を記載したインボイスを交付したり、保存したりする義務が課せられる制度です。
ここで大きな問題が生じます。
消費税対象の収入が1千万円に届かないいわゆる「免税事業者」が、「あなたに外注費を支払っても消費税計算で控除できないから、あなたとは取引をしません。」と言われて仕事を失ってしまう可能性が出てくることです。
となると免税事業者でも課税事業者になることを選択して、消費税の納税義務者とならざるを得ないということになります。
「そんなのありか?」という大問題が生じるのが「インボイス制度」なのです。
公正取引委員会は、この問題が気にならないのでしょうかね?
この2年間、「コロナ、コロナ」でマスコミの報道では、ほとんど「インボイス」という文字を見ませんでした。
いやいや、ホントのところは、マスコミで働く人たちは給与所得者であるため「自分たちには関係ない。」と無関心なのかもしれません。
2年後のインボイス制度導入のための国税庁への登録が、令和3年10月1日から開始されます。ご注意ください。