「夫婦げんかは、ほどほどに。」男と女の税務 その③

2017年11月21日

「夫婦げんかは、ほどほどにして、相談相手を選びましょう。」

 

今の首都圏の不動産市況は「プチバブル」と言われているようです。

面識のある不動産鑑定士さんは、バブル崩壊時のことを引き合いに出して、借金してのアパート経営について、

 

「一時的に相続税は安くなっても、その後家賃が下がり借金返済できず自己破産。結局は業者を儲けさせただけ。」

 

という内容の記事を最近書かれていました。

何が良いのか悪いのか…。

 

さて税務のお話。

平成×年3月のある日、開業したばかりの税理士A君のところに、ある社長が税務相談に。

 

社長「税務署から出頭命令が来たんですよ!」

A君「それは穏やかじゃないですね。」

 

A君 送られてきた書類に目を通して、

  「財産分与と書いてありますが、離婚されたのですか?」

社長「実は…。」

 

その社長、ワンルームマンションの投資話にのってしまい、複数のマンションを借金で購入。

バブル崩壊で借金の返済もままならぬ状況に。そこで奥さんから「一人になったら、返済なんかできない!」と言われ夫婦げんかに発展。

某コンサルタントと名乗る人に相談し、離婚を勧められたとのことでした。

 

社長「離婚しての財産分与で、自宅だけは女房に残せる、と。言われたとおりに…。」

A君「不動産の財産分与ですが、まずは譲渡所得課税ということになりますよ。社長さん、元に戻すことはできますか?」

 

A君 質疑応答集を紐解き説明した。自分の半分の年齢だからか、社長は半信半疑。

  「それでは、一緒に税務署に行ってみましょう!」

 

税務署で一部始終を話して、元に戻す手続きをして、書類を提出してこと無きを得た。

しかし、不動産登記関係の費用は行って来いの2倍かかり、心労と時間も考えると、得るものはなくマイナス面ばかりでした。

 

A君「あとは、奥さんと元に戻るだけですね!」

社長「実は、最初から別居はしてなかったんです。」

A君「えっ!離婚は書類だけだったんですか???」

 

犬も食わないといわれるものに面食らった30歳のA君。

参考にしたわけではありませんが、平成元年9月14日最高裁判決は、共有財産以外からの財産分与の錯誤が認められたケース(これもまた、「あらかん」さんを思い出します)。

 

間違いに気付いたら、税務の世界では早めに自主的修正することが、無駄な税金を負担しないことの第一歩。

離婚のみならず、結婚も同じかもしれませんが…(笑)。