2017年08月24日
某法律事務所の女性スタッフとの会話がきっかけで、今回のタイトルとなりました。
ホントかどうかは分かりませんが、「その昔、嵐寛寿郎という俳優さんが離婚のたびに体一つで家を出て行った。」という話題を、以前テレビで見た記憶があります。
今の時代、そんなカッコいい話は、聞こえてこなくなりました。
なぜか?
時代背景が大きいとは思いますが、税務の世界に目を向けると、体ひとつで家を出ると、一文無しになったにも関わらず、数百万円という税金に追いかけられることがあります。
普通に生活をしている国民の常識からは考えられません。
謎をひも解いてみましょう。
自宅のマイホームが夫の名義であった場合、離婚が原因で、妻に名義を変えると「資産の譲渡」に該当し、所得税及び住民税が課税されることがあります。
もう少し家のなかを、のぞいてみましょう。
夫婦げんかで妻がけがをしてしまった。これだけでも不法行為に当たるかもしれませんが、一般的には既に存在した不法行為が理由で夫婦げんかになるのかもしれませんね。
まあ、いずれにしても、不法行為があって離婚することになったとしましょう。
慰謝料が問題になります。
慰謝料を支払うために、夫名義の不動産を売却して、「資産の譲渡」でかかる税金を納付した残金で夫が慰謝料を支払えば、何の問題もでてきません。
ところが、お金という資産ではなく不動産という資産で慰謝料を支払った場合に、「課税をしない」ということになると、税金を納付した残金で慰謝料を支払った場合に比べて、不公平が生じます。
そこで租税法の世界では、「資産の移転」言い換えれば「不動産がその所有者の手を離れる」時点に着目をして不動産の譲渡所得に「課税する」ことになっている、と考えれば理解しやすいと思います。
やはり、「課税の公平」が考えられているのです。
(今回のテーマ、最高裁昭和50年5月27日第三小法廷判決を参考にしました。)
話を元に戻しますが、税金のために男性がカッコいい生き方ができなくなったとは思っていませんので、誤解のないように。