コロナが変える最低賃金の考え方

2020年07月22日

『Go To トラベル(キャンペーン?)』が始まりました。
(中には、Go To トラブル?なんていう声も……。)
「遠出をして、楽しんでね!」ということなのでしょうが、人づてに聞いた笑うに笑えない笑い話を、ひとつしてみましょう。

 

神奈川県の県境に遊びに行った方が、お土産物屋さんに立ち寄った際に、
「食事の美味しいお店は、近くにありますか?」と尋ねたところ、
尋ねられた店員さんは、「隣の県から働きに来ているから、わからないんですよ。」と答えたそうです。笑うに笑えない笑い話です。旅行に行く立場としては、ガッカリしますね。

 

なぜがっかりするかというと、そういう回答を想定してないからです。
どうして、こんなことが起こってしまうのでしょう?

 

地元の人は電車を使って東京方面に働きに行くため、県境を越えて仕事に来る人を雇用せざるを得ない事情があるのだそうです(最近は、電車通勤自体を良くないとする「がんばるな、ニッポン。」というCMまで出てきています)。

 

観光客が喜べない観光地を創作しているのは、絵に描いた餅すなわち「賃金バブル」なのかもしれません。

 

それは、市場を無視した国による最低賃金のアップ、というところでしょうか。

地元の人が、地元で働かないなんて……。

これでは、せっかく『Go To キャンペーン、いやトラベル』を実施しても、旅の楽しさは半減……。

 

 

コロナが、賃金バブルを崩壊させる?

「5月の失業者数が、200万人に迫る!」

「首相が、最低賃金アップには慎重論」

という見出しが、毎日のように新聞紙面を賑わせています。

 

また知人から「労働基準監督署が、生活保護者を増やしているようにも感じる。」という話を聞いて、「えっ?」と思いましたが、こういうことなんだそうです。

 

金融庁が「老後の生活資金として2,000万円必要だ」としたことは、まだまだ記憶に新しいですね。
預貯金がそんなに無いから、当然、給与所得者として働くことになります。
そもそも、年金をもらうような年齢になると、働く間口も狭くなってきます。
そこで、最低賃金よりも若干低い金額で、と双方合意したとしても、労働基準監督署が認めないのだそうです。

 

「消費税もアップし、市場を無視しての最低賃金アップだから、やっていけない」と昨年事業を廃業した方も多かったと聞きました。自営業者の廃業が増加すると働き口が減少するという悪循環から、「労働基準監督署が、生活保護者を増やしている。」という考え方が導かれるのだそうです。
また、高校生の息子さんがアルバイトで最低賃金の金額をもらうことに、おかしい!申し訳ない‼と感じる事業所得者の親御さんもいるようです。

 

ここはひとつ「よっしゃ!」という気持ちで、政策を変えましょう。

最低賃金を「基準最低賃金若しくは標準最低賃金」として、市町村単位で決めるようにしてはどうでしょうか?

 

「市町村単位で最低賃金を決める!」というのは、会議で一緒になった若い税理士さんの意見です。そうなんですよ。「静岡に近い湯河原と東京に近い川崎で、最低賃金が同じ。」「六本木の最低賃金と都内離島の最低賃金が同じ。」というのはどう考えてもおかしい……。

 

加えて、もし、最低賃金を、給料をもらう立場の人ばかりが寄ってたかって決めているとしたら、やはりこれもおかしい!
中央最低賃金審議会委員名簿(厚生労働省)

 

使用者委員のメンバー構成は、現実離れしているのではないでしょうか?
中小企業の実態は、ほとんど「所有と経営が一致」しているのが実情です。厚労省におかれましては、ご理解いただきたいところです。

 

ここはひとつ「よっしゃ!」という気持ちで、まずは、最低賃金を市町村単位で定めることから始めてみませんか。「Go To トラベル」の満足感も最低賃金以上に、きっとアップしますよ。