信用保証料税務上の取り扱い~寺田誠一先生との会話から〜

2023年12月27日

 

 

先日、ホームページで経理のお悩み相談をお書きの寺田誠一税理士とお目にかかったときに、
「和泉さんはなぜ、信用保証料についてホームページで詳しく書かないのですか?」と聞かれました。

 

 

 

 

 

個人的には、月刊税務事例の原稿が「信用保証料のすべて」だと思っていたのですが・・・。

 

寺田税理士は、信用保証料の前払費用説をホームページで理論的に詳解されています。

 

そこでご期待にお応えして、少し、補足説明をさせていただきます(お正月休みにご覧いただけると幸いです)と、法人税の前払費用の定義は、法人税法施行令の(繰延資産の範囲)第14条の2項で、

 

「前項に規定する前払費用とは、法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用のうち、その支出する日の属する事業年度終了の日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。」としています。

 

 

 

 

 

 

 

ここは、「支出する日の属する事業年度」のことを言っているように読めます。そこで当該年度の翌事業年度以降の損金算入額はどうやって計算するの?という疑問が生じます。

 

そこで、「月々の金額が契約で決まっていてお互いにわかっているのが前払費用」だと考えることができるように思います。

 

ゆえに税法は、繰延資産のように月数按分の規定を前払費用には置いてないと考えられます。

 

 

だからこそ、「みにくいあひるの子」を思い浮かべるわけです。信用保証料だけが、中小企業の会計指針における前払費用例示のなかで「仲間外れ」なわけです。

 

 

 

 

それから、寺田税理士はホームページ(令和5年12月27日現在)で、補論⑵として「判決は、一時損金説を否定したが、それはすなわち、役務の提供は終了していると考える繰延資産説をも否定したことになるのかもしれない。」とされています。

 

しかしながら、我が国の民事訴訟法においては弁論主義が採用されており、原告及び被告が共に主張していない繰延資産説を裁判所が否定したとは思えないところです。

 

 

 

 

 

※ 弁論主義については、酒井克彦「クローズアップ課税要件事実論 第6版」財経詳報社31頁

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