信用保証料税務上の取り扱い〜寺田誠一先生との会話から その2〜

2026年01月07日

銀行から融資をしてもらって喜んでいる会社の社長

 

 

以前、「信用保証料税務上の取り扱い~寺田誠一先生との会話から~」というコメントを書かせて頂きました。

 

その後、「ホームページを更新しましたよ。」というご連絡をいただいていたのですが、時間が経ってしまいました。

今回のポイントは、「視点の違い」ということになるでしょうか。

 

 

 

 

寺田誠一先生は、公認会計士・税理士として長年実務に携わり、現在は会計実務に役立つ情報をホームページで発信されています。

 

 

寺田先生は、信用保証料の費用化について、

 

「ここで、前払費用説の税務上の根拠を考えてみる。前払費用の償却(費用化)は、法人税法22条4項の公正処理基準によるものと考えられる(後述の補論(2)(3)の判決・裁決も、公正処理基準に従って計算されるべきものとしている。)。会計上、借入金残高比例償却および月数按分の両方が公正妥当と認められ、適正な期間損益計算に資するので、税務上もその両方が許容されるものと考える。」

 

とされています。

 

 

しかし、企業会計の目的は、一般的かつ、コンパクトに言えば、

適正な期間損益計算」であり、それは利益操作を排除するものでありましょう。

 

また、税法は「適正公平な課税」の実現を目的としており、税務会計処理方法の恣意性は排除されなければなりません。減価償却方法も引当金の計上も、企業会計に比して、税法の規定はかなり限定的です。

 

さらには、法人税法施行令に前払費用の定義が存在するにもかかわらず公正処理基準にその拠りどころを求めた国税不服審判所の裁決事例には、発展の余地を期待できます。

そこで、「保証料の期間按分のための計算方法が、法人の任意選択で複数認められる」ということを企業会計が認め、かつ、公正処理基準の名のもとに法人税法が認めているとは到底考え辛いところです。

 

国税不服審判所が職権探知主義により、信用保証料の支出について判断すべきは、次の4つでしょう。

 

 

      1.債務確定基準に基づき、支出事業年度における一時の損金であるのか。
      2.公正処理基準に基づき、企業会計上の前払費用に該当するのか。
      3.債務確定基準に基づき、法人税法施行令の前払費用に該当するのか。
      4.別段の定めに基づき、法人税法上の繰延資産に該当するのか。

 

 

なお、法人税法22条3項と4項に登場するルールや基準の税務上の強弱を解り易く示すなら以下のようになるでしょう。

 

 

この不等号を用いた比較は、別段の定めが税法独自の計算原理であり、法人税法が企業会計準拠主義を採用していることと考えられます。

 

※参考図書として

酒井克彦著 プログレッシブ税務会計論Ⅲ―公正処理基準― (中央経済社)